機材コラム 三脚の巻 「増殖する三脚」

三脚は増殖する。そうとしか思えない増え方をする。私は写真を本格的に始めてから、4年足らずの間に8本の三脚を購入した。その他に一脚を3本購入した。
私の場合少し極端かもしれないが、皆さんも似たような経験はお有りなのではないだろうか。
どうしてこんなことになってしまったのか、反省しながら分析することによって、三脚への理解を深めてみたい。

@最初から三脚に金はかけられない!!
誰でも最初に写真を始めようと思ったとき、まさか、三脚に何万円もかけようなどとは、絶対に思わないはずである。カメラが高いのは何となく許せる。いかにも精密機械である。
その精密感に比べたら、三脚など、「いわばただの棒ではないか。」そう思ってしまう。そんなもので何万円するものがあることすら意外であるし、買う人がいることなど信じられない。
事実2〜3千円から売っている。そして(カーボン製は別にして)普通安いものほど軽い。

A三脚を買う過程
それ以前に、最初は三脚を買わない人だっている。それでも後から一応買うのは、記念写真で自分も写りたい場合がある、または誰かから、あるいは本で「三脚を使うと写真が格段とうまくなる。」と聞かされるからであろう。
そして、とりあえず安いものを買う。ところが撮影会などに行って、講師やベテランから「そんな三脚じゃダメだよ。」と言われる羽目になる。そして、少し高いものを買い足す。
こんなところが、標準的なパターンだと思う。
ところが、これで終わればいいのだが、そのうちに今使っている三脚の欠点が気になってくる。
3段式のものを買った人は「4段式だったら持ち運ぶ時にもっと短くなるのに」と思う。4段式のものを買った人は「3段式だったら、伸ばす時に6個のリングを回すだけなのに、9個も回さなければならない」と思う。
軽いものを買った人はブレに悩み、重いものを買った人は持ち運びに悩む。
雲台についても、2ウェイ(2方向)のものを買った人は3ウェイが欲しくなり、3ウェイを買った人は自由雲台が欲しくなる。
そして最後には結局カーボン製が欲しくなって、最初は想像もしなかった定価7万円の三脚を買うことになる。
その時にすでに手元には数本の三脚があるという事態になるわけである。

B本当に三脚は高いものが良いか?
ある程度は事実のようである。どこのカメラの本を読んでもそう書いてあるし、どの先生もそう言う。そして、実際ハイアマチュアの多くが高価な三脚を使っている。
少し調べてみた。ネイチャー派の間では定評のある「風景写真」という雑誌では、コンテストの作品データに三脚の詳細データまで書いてある。
この最新号で入選以上の作品68点について三脚データを集計してみた。
その結果、ジッツォ33点(49%)、ハスキー9点、(13%)、マンフロット7点(10%)他2点(3%)(以上外国製合計49点 75%)、ベルボン12点(18%)、スリック5点(7%)(以上国産合計17点 25%)となっていた。
うーん、やはり4分の3が外国製か。それに国産といっても、ベルボンのほとんどが「マーク7」、スリックのほとんどが「プロフェッショナル」。あるいはカーボン製という、いずれも7万円級の三脚である。
しかし、このデータは「「風景写真」で入選するくらいの写真マニアは、三脚にも金を掛けている」ということを証明しているだけで、「高い三脚を使うと「風景写真」に入選するほどの写真が撮れる」ということを証明しているわけではない。
ただ、こうしてみると、例えば富士山の近くに行くと、カメラマンたちがびっくりするような高そうな三脚を道端にズラッと並べているのも分かる様な気もする。
かく言う私も、8本の三脚の最後の3本は、ベルボンマーク7とジッツォG226(2型4段)とG320(3型3段)(+ハスキー雲台)である。(私の腕では「風景写真」の予選通過も難しいが・・)
安すぎるちゃちな物は別として、定価で3万円位を超えたら、あとは(400mmF2.8のレンズや4×5カメラでも乗せない限りは)、同じ様な気もする。
ただ、もともとが趣味のものだから機能だけでは語れない。ブランド料だと割り切って高いお金を払うのも、本人が満足できればそれでいいわけである。ライカのカメラに数十万円掛ける人もいるのだ。
それに比べればまだ、高いと言ってもせいぜい5、6万円だし、多少は機能の差はある方だと思う。
ベルボンマーク7とジッツォを2本買ってしまった私は、さすがにもうしばらく三脚は買わないと思う。言い換えれば、はじめからこの3本を買えば、その前の5本は買わないで済んだのである。

C失敗しない三脚選びのコツ
「センターポールを伸ばさずに眼の高さまで来ること」などとはよく言われているが、ちょっと観点を変えて、私のように大量の三脚を買わないで済む方法を考えてみた。

T.一本で済ませようと思わないこと
私が結局沢山の三脚を買う羽目になってしまった理由は(私が物好きだという点を除くと)、究極の三脚を求めてしまったからである。「これさえあれば、すべての場合に対応できる」ような三脚を求めてしまった結果でもある。
はじめから、「そんなものはないのだ」と割り切って、自動車利用用のヘビーなもの、電車旅行用の中位のもの、山歩き用の軽いものと分けて考えれば、せいぜい2、3本あれば済んだのである。

U.多少無理をしても高いものを買うこと
欲しい(自分がいいと思う)ものがあった時、絶対に中途半端な妥協はしないで、分不相応と思っても、いい物を買うこと。
なぜなら、その時「少し高いなー、もったいないなー」と思ってあきらめても、必ずいつかはそれを買う羽目になるからである。(高いと言っても10万円まではしない、またモデルチェンジも殆どしないところに落とし穴がある。)
そして、かつて妥協して買った物は無駄になる。カメラだったらまだ下取りにも出せるが、三脚はどうにもならない。
もし、あなたが軽いことを優先して考えているのなら、だまされたと思って黙って6万円払ってカーボン三脚とマグネシウム雲台の組み合わせを買った方が良い。
重くてもしっかりした物をと考えているのなら、ジッツォ、ハスキー、マンフロットの輸入御三家か、国産でも定価4、5万円以上(実売3、4万円以上)クラスの物を買った方が良い。
繰り返し言うが、最後は必ず買う羽目になる。そして、今そんなに出せないのであれば、しばらく今持っている三脚で我慢した方がまだ良い。三脚ばかりは本当に「安物買いの銭失い」なのである。